LINEの悪い噂については、少しでもITに携わる者であれば一度は耳にしたことがあるはずだ。
LINEがもてはやされるようになり始めた2012年~2013年頃、周囲の友人から代わる代わる加入を勧められたのを覚えている。
その都度、「俺はそういうの苦手だから…。」と、やんわり断っていた。
PCや携帯にアプリケーションを入れる場合には、可能な限りその製造元の経営者や資本の拠出元について調査するようにしているので、その時も例外なく調べた。
その伝播の不躾なやり方とも相まって、「誰が何を言おうとインストールしない。」と固く決めていた。急ぎの用事なら、電話もメールもある。
そのアプリを入れないことでコミュニケーションが減って、別に誰と疎遠になったってかまわない。
本来であれば、友人達にも削除を勧めるべきだったのだろうが、僕はあえてそれをしなかった。
究極的には個人の判断の問題であるし、それに、便利だとか楽しいと感じている人間にとっては、(やんわり断る程度の)僕の反応でさえも過剰に見えているのだと思っていたし(現にそれは自覚してもいる)、当時の雰囲気では、そういうことをあまり言いすぎると、僕のほうがキチガイのレッテルを貼られるであろうことも、なんとなく読めていたからだ。
最近になってようやく、LINEのデータが彼の国に保管されており、個人情報や投稿内容が閲覧可能な状態になっていた、というニュースが出てきた。
知ってた。僕からしてみれば、「何をいまさら」という感じである。9年前から分かっていたことだろう。
多くの心の弱い人は、色んな噂があるし薄々不安ではあるけど、周囲の人が使っているのだから大丈夫だろう、程度の気持ちで使っていたのではないだろうか。
小学校のころ、たけしだったか、「赤信号、みんなで渡れば怖くない。」というのを言って学校でも随分流行っていた気がする。
情報が資産として非常に重要になってしまった昨今では、皆で渡る赤信号ほど怖いものはない、と言っても大げさではないだろう。家族や友人にさえ迎合してはいけない世の中になってきた、ということだ。
情報を扱うプロを自認するIT関係の職業人たちの中でも、利用者は相当居るはずだ。反省してすぐにアンインストールしてほしい。
問題として最も深刻だと感じるのは、政府機関や地方の役所の人間でもこれら情報通信の安全性について全く無頓着であることだ。いくつかの役所ではLINEと提携したり、公的な文書をLINEでやりとりしてもいるらしい。2021年3月現在、IT担当大臣が「使い続ける。」と発言しているそうだ。
…馬鹿かおまえらは。
日常の与太話が漏れる、というどころの話しではない。個人や組織の最もコアな情報が、第三国(昨今では紛争当事国)に漏れている。最も狡猾かつ秘密裡に情報を盗み出す奴らは、得た情報についても、最も狡猾かつ効果的にそれを利活用するであろうことは、想像に難くない。
以下は、2019年11月13日の衆議院経済産業委員会の質疑の抜粋である。この質疑でさえ、8年は遅れている。
【以下抜粋】
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120004080X00520191113¤t=2 より
085 足立康史
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○足立委員 ありがとうございます。
平副大臣に、政務の副大臣にお越しいただいたのは、まさにこういう御答弁をいただくためでありまして、ありがとうございます。
まさに、例えば中国であれば、中国の法律でごそっと持っていかれることだってあるわけです。だって、話が飛びますけれども、日本人が今十数人もスパイ容疑で拉致されているわけですから。何をする国かわかりません。
それからもう一つ。私がふだん一般国民というか生活者としてやっている、あるいは仕事でも若干使うことがありますが、正式は忘れたけれども、LINE社というのがありますね。使っていらっしゃるんでしょう、多少は。(発言する者あり)ああ、使っていない。なぜ使っていないんですか。ああ、質問を受けたらだめですね。
私も使っていると、後援会の皆さんとか友人が、国会議員なのにLINEなんか使ってはだめだよと言われるんですよ。だめですか、これ。ちょっと、どなたか。LINEは危ないかどうか、誰か。
086 平将明
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○平副大臣 多分、サーバーの話とも関連するんだと思います。
御承知のとおり、中国と韓国は仕組みが違いますので。公開情報によれば、LINE社は、サーバーは主要なサーバーを日本国内に置いていて、その管理は日本国内の法令に準拠をしているということでありますので、特段問題があるというふうな認識はしておりません。
087 足立康史
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○足立委員 私も、そう言われるものだから、調べてみました。これは経産省ももしかしたら調べていただいているかと思いますが、個社について政府がいろいろ言うのはちょっと言いにくいということもあるかもしれませんが、もし間違っていたら訂正していただきたいんですが。
LINE株式会社がいろいろなサービスを提供していますが、少なくとも日本人と日本人がコミュニケーションをとっている、海外のサービスもありますから、少なくとも日本国内で日本人と日本人が、我々が普通に使っている限りにおいては、その処理は国内のサーバーで処理がなされている。
資本は、これはネイバーですね、これは韓国資本が大きな割合を占めています。すると、では韓国資本はリスクがあるのかということですが、これはいかがでしょうか。
088 西山圭太
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○西山政府参考人 お答え申し上げます。
まず、一般論としては、今、平副大臣からも御答弁がありましたけれども、インターネットを利用したさまざまなサービスが存在する中で、そのサービスを利用するかどうかについては、そのサービスを提供する事業者がその自社のサービスの内容などについて消費者に積極的に開示をする、それで消費者がその情報を踏まえながら選択するということが大前提だというふうに考えておりまして、今委員御指摘の会社につきましては、先ほど平副大臣から御答弁のあったようなことが開示をされているというふうに認識をしております。
その上で、どの会社がということではございませんけれども、政府として取り組んでおりますのは、一つには、もちろんさまざまなサービスやアプリケーションでいわゆるセキュリティー的な障害あるいは問題事案が生ずることが世界的にございます、そういう場合については、それについての啓発のための情報発信ですとか、あるいは、技術的にそれについてどういう点を注意した方がいいかということの情報提供はIPAなどが行っておりますし、また、先ほど出ましたようなさまざまなデータの取扱いについての法制に関する情報についても、ジェトロなどを通じて発信をしているというところでございます。
さらに、今の委員の御質問に直接はお答えをしておりませんけれども、例えば、クラウドサービス一般について調達する場合にどういう点を評価すべきなのかという点については、まさに今、政府の中で新しく基準づくりをした上で、その運用、監査に当たって、今回、IPAがそれをサポートする体制を構築したいというふうに考えております。
以上でございます。
089 足立康史
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○足立委員 まさに今局長から御答弁いただいたように、今回の法律にあっても、政府調達に係るクラウドサービスの安全性評価を行うということでIPAの業務追加が行われているわけでありますから、問題意識は共有しているわけでありますが、要は、先ほどあった重要な何か事業とか、あるいは政府調達とか、そういうところで問題があるのは当然ちゃんとやってもらわないといけないんだけれども、でも、国民も今や大変こういう問題にコンシャスでありまして、先ほど平副大臣からも御答弁いただいたように、今の政府のそういう国民への情報提供は必ずしもわかりやすいようになっていないし、それはおじいちゃん、おばあちゃんにもわかった方がいいので、例えば災害のときに避難してくれという表示はわかりやすくする努力をずっとしてきています、それと同じぐらいのわかりやすさで、私は、政府においてぜひ改善を進めていただきたいと思っております。
きょうは、実は、午後、またインテリジェンスの話で内調とか、あるいは、今度新しく経済安全保障でNSSに経済班がつくられようとしていますがそういった問題、あるいはマイナンバーの問題も取り上げますが、全部、働き方改革ということで、もう極力この午前中は呼んでおりませんので、ほぼ午前中の質問は尽きましたので、あと二分ほどありますが終わりたいと思いますが、せっかく平副大臣もお越しで、もう一言何かしゃべりたいとかいうことは。ちょっと宣伝というか、御自分の何か後援会向けの宣伝でも結構ですので、ちょっとお願いします。
090 平将明
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○平副大臣 では、せっかくお時間をいただきましたので。
今、足立委員の御指摘は、個人データの流通のルールの世界、いろいろな潮流が出てきて、それをどう消費者に伝えるかという問題だと思います。
例えば、中国はかなり個人情報を政府や共産党が見ようと思えば見られる仕組みになってきておりまして、ここ数年の動きだと思います。
ですから、そういったこの数年の動きをちゃんとユーザーに伝えられる努力はしっかり部局としてしてまいりたいと思っております。
091 足立康史
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○足立委員 ありがとうございました。終わります。
【抜粋ここまで】
この質疑から、4か月以上が経過している。
情報は我々の大事な資産だ。技術に明るい、明るくない、ということは、全く関係ない。資産をどう守るか、ということを真剣に考えたとき、自ずと解は見えると思う。
さて、昨今は自宅で仕事をすることがほとんどであり、出前館やウーバーイーツなどの出前サービスを利用することが増えた。
ウーバーイーツは基本的に行儀の悪いのが配達しにくることが多いので、ほとんど使っていない。ここ3ヶ月くらいは出前館を活用していた。
最近、出店のラインナップなどから、ふと気になって出前館の現在の状況を調べてみたら、案の定2020年3月にLINEが筆頭株主になっていた。
今しがた、解約した。
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